PROFILE
2020年 中途入社 有川さん
国際自動車 三鷹営業所 タクシードライバー
これまでの乗務の中で、印象に残っているお客さまはいますか?
「考え事をしているので、しばらくこのまま流してほしい(車を運転し続けてほしい)」とおっしゃった方がいまして…。その考え事の時間を有意義に過ごしていただくには、やはり「海」かなと(笑)。お台場、大黒ふ頭…横浜の方まで。お客さまの相談を受け、お話をしている…と、私の方が相談に乗ってもらうことになってしまって(笑)。自分から話した記憶はないんですけど、知らない内に。お付き合いしている人について…など赤裸々にお話したんですが、その方から「絶対プロポーズした方がいいよ!」と熱く背中を押していただきまして。その年の年末にプロポーズして結婚したんです!
なんと!その方の一声で人生が変わった瞬間ですね。
はい。この記事を読んで「あの時のドライバーさんだ!」と気付いていただけたら嬉しいな…と思うのですが(笑)。
有川さんは、乗務中に人命救助に当たる機会があり、二回表彰を受けているお伺いしました。
夜間の乗務で、道に寝転んでいる方を発見し警察の方へご連絡しました。電信柱の陰から足が飛び出ていて、車を止めたんです。安全な場所で保護して警察を呼びました。
夜道の暗い中、なぜ気付けたんでしょうか…?
安全管理の一貫として、目に見えている景色全体を満遍なくチェックしながら運転するんですが、そのときは些細な違和感を覚えまして。常にアンテナを張っているからこそ「何かがおかしい」…という気配を感じ取ることができるんです。その結果、物陰から足が飛び出ていることに気付いて。いつも心掛け実践している安全運転のためのルーティンが、人命救助のキッカケになったんです。
まずは、これまでのご経歴についてお聞かせください!
最初のキャリアは「整備士」の仕事から。高校時代・専門学校時代から車の整備について学んでいて、その時から将来は整備士という仕事に就くんだ…という未来が見えていました。ですから、就職活動でさまざまな企業をみたり比べたり…ということはなく。ただ、思い描いていたのは、一台の車と、ゆっくり、ちゃんと向き合う仕事で。実際は、細かい時間制限があり、洗車も含めて数時間で完遂。日々の業務は常にスピード勝負で、なかなかハードな現場だったんです。
なるほど。思い描いていた仕事とは、少しイメージが違ったんですね。
テレビやYouTubeで見られる「古い車を買ってきて、自分の手で修理してカッコイイ車をつくる!」…みたいなのをイメージしていましたね(笑)。車の整備を担当している時間は、やりがいを感じながら働けていたんですが、時には車の点検だけを行うルーティン業務の日もありまして。そうした状況にストレスを抱えるようになって転職活動に踏み切り、その後開発設計の仕事など車に関する仕事を経験してきたのですが…。さまざまな理由が重なり、再び転職しなければならない状況になりまして。
なるほど。整備士や開発設計の仕事から、離れる必要があったんでしょうか。
東京と地方を行き来するなど、忙しない日が続いてしまいまして。次第に仕事を休むことが増えました。そこで勤務日程に融通の利く業界・職種を探しはじめました。その過程で、国際自動車(kmタクシー)と出会ったのですが、偶然にも営業所に小学生の頃の同級生がいたんです(笑)。それも含めてなのか、三鷹営業所の雰囲気が自分に合っていて…!これも一つの運命かな、と。
それは驚きですね(笑)。ちなみに、他の業界・職種の選択肢はあったんでしょうか?
当時はさまざまな業界・職種を選んで何社か受けてみたんですが、いちばん話がスピーディーに進んだのがkmタクシーで。話が早く、こちらの状況についても真摯に汲み取っていただいて、勤務時間等も調整してくださいました。前職では、一日中働く日もあり、深夜・早朝に帰宅するというのも日常茶飯事で。それが今では、体が二日間丸ごと空く日もありますから。お給料、仕事のやりがいは増えて、体の負担は減る。ワークライフバランスはかなり安定したと思います。今では、趣味の時間も作れています。
ご趣味の時間を作り、プライベートも充実しているようで安心しました!
登山が好きなんですよ!長期間の休みを作ることができるので、山に行く機会は随分と増えましたね。登山好きにとっては、平日に休めるというのが大きなメリットで。山って、土日混むんですよ…。平日なら、ゆっくり自分のペースで登れますね。あと平日休みだと役所にも行きやすいですね(笑)。
山と役所に行きやすい(笑)!
平日のイベントにも参加できますし、人気店も並ばず入れますし、飛行機代が安いから旅行も行きやすい。これまでの仕事とは、まったく違う世界のように感じられます。
とはいえ、整備士や開発設計の仕事と、タクシードライバーの仕事はまったく違う仕事。大きな変化があったと思いますが、当時を振り返ってみていかがでしょうか?
確かに、車を運転する側に回るわけですから、業務内容は大きく変わりますよね。入社時は不安な点が多かったんですが、よく考えれば結局どんな業界・職種に移ったとしても大変だったと思います。丁度、コロナ禍ど真ん中でしたので…。
2020年、コロナウイルス感染拡大の最中での転職だったのですね。
あの時は、どの業界も大変で。例えば飲食業界への転職だったら、もっと大変だったんじゃないか…など思うんですよ。そう考えるとコロナ禍の最中に転職したからこそ、得られた学びもありまして。私、元々運転中に周りの景色をみながら道を覚えるタイプでして…コロナ禍では現在よりもお客さまをお乗せする機会が少なかったので、道を覚えることに専念することができたんですよ。その後、コロナ禍が収束し、お客さまが戻ってこられた頃にはしっかり道を覚えている状態で乗務に臨むことができました。このように、逆境の中で得た学びを次に活かす…といった考え方や風土がある、「強い業界」のように感じることが多々あります。タクシー業界ならではの強さ、これもまた転職を選んでよかったと感じる理由ですね。
さて、コロナ禍を抜け、本格的に乗務に臨める環境になってみて率直な感想をお聞かせください。
中途入社ならではと言いますが、前職で得たスキルを活かすという面白さがあります。私の場合は「説明能力」でしょうか。整備士の仕事や開発設計の仕事を経験する中で、お客さまに対してさまざまな提案をする機会がありました。その時得た、わかりやすく説明する能力は今も活きていて。例えば「その目的地なら高速を使った方が早く着いて料金は変わりません」…といった説明を瞬時に簡潔に説明することができると、お客さまの時間短縮や満足度に繋がっていくわけです。その生まれた時間を使って、新しいお客さまをお乗せする…ドライバー側にもメリットが。こうした小さな積み重ねが売り上げの数字に繋がってきます。
なるほど。カギを握るのは「説明能力」。整備士時代に得た、車に関する知識・技術が活きる場面もありそうですが…?
確かに、「車の限界」を知っているということが安全管理に繋がっている場面がありますね。これ以上無理をすれば、スリップしてしまう…など、無理な運転を避けることができますから。ハンドルを切った場合、どの部品がどのように作用してタイヤが動くのか…など、構造的に理解をしているからこそ、お客さまが不快感を感じないような運転を実現することもできます。あとは…なんと言いますか、いいづらい部分でもあるんですが…「車種から読み取るドライバーのキャラクター」というものがありまして(笑)。車の好みと運転の癖には若干特性があります…(笑)。あの車のドライバーは、こういう運転をしそうだな…という予想をしながら、位置取り、確認を。車好きだからこそ持てる視点かもしれません!
本日は貴重なお話をありがとうございました!
有川さん 警察署長感謝状拝受の模様