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2021.05.27

特集記事:「ここで働かせてください!」 ベテランタクシードライバー・佐野さんが国際自動車への入社を語る

今回も、ドライバーの方々を取材しているライターの視点から語らせていただきます。各メディアの報道を受けて、コロナウイルス感染拡大防止のため極力外出は控える日々。しかしこの日は、とある使命を果たすべく国際自動車株式会社(kmタクシー)世田谷営業所へと向かっていました。

最近はコロナウイルスの影響もあって、ドライバーそれぞれの働き方も変わり始めていると聞きます。どの業界も変化を強いられているこの「禍」の中、ご多分に漏れずタクシー業界もまた何かしらの変化を求められているのでしょう。

毎月取材に来ているはずなのに、確かに今日はいつもと違って慌ただしさが垣間見えます。ごにょごにょと考え込んでいる内に「お待たせしました」と笑顔を見せたのが、今日の取材対象者である佐野さんでした。

―やっぱり、今は大変な時期ですか。

「ええ、リアルな話をすれば売り上げにも影響が出始めています。きっとタクシー業界に限った話ではなくて、どの業界も同じだと思います」
kmタクシーのベテランドライバーとして、自ら乗務を続けながら後輩の指導にも当たっているという佐野さん。取材では彼の日々の仕事におけるやりがいを聞こう、できればおすすめの飲食店なんかも聞いてみよう…取材が決まった1ヶ月前は、そんな軽い心づもりでいた。しかし世間は、いつどんな時でも「おすすめの飲食店を聞けるムード」を保っているわけではありません。少なくとも、この時期のこの取材はいつもよりも背筋を伸ばして臨まなければならないと、自身に言い聞かせていました。

しかし、取材を続ける内に徐々に「おすすめの飲食店を聞けるムード」が作り出され始めます(そして、実際に聞いてみた)。佐野さんの明るいパーソナリティのおかげか、次第に場が安らぎ、その優しさにかまけて敢えてこんな質問を投げ掛けてみました。

―佐野さんは、35歳の転職活動で志望した企業7社すべて落ちたんですよね。言い方を選ばなければ、どん底だったのでは。

「あの時は確かにね、大変だったけれど(笑)…」

コロナ騒動に起因する倒産や解雇が相次ぐ現代。同じく、佐野さんが転職活動を始めた時期も雇用は不安定でした。…リーマンショックです。車の運転スキルに自信があったので転職先を物流業界に絞っていた佐野さんは、7社の採用試験を受けてすべて不合格。社会全体が厳しい状況に見舞われていた中では、35歳での転職という年齢的なハンデ、当時の経済状況が相まって厳しい転職活動が続いたといいます。そんな中、唯一手を差し伸べてくれたのがkmタクシーでした。手を差し伸べたのか、自ら掴みに走ったのか。

―今、職を失った方々がたくさんいらっしゃるという現実を目の当たりにして、佐野さんから伝えられるメッセージはありますか。

「自分にできる仕事・よく知っている業界以外にも、チャンスは転がっている…そんな話でしょうか」

家族から薦められて初めてタクシー業界に目を向けたと言う。例えば「タクシードライバーの一日」を想像した時に、この記事を読んでいる貴方自身は一体どんなスケジュールをイメージするでしょうか。「ずっと運転をしている」という単純作業を思い浮かべた人が多いかもしれません。しかし、実際はタクシードライバーの仕事のメインは「お客さまの要望を聞く」ことです。 ヒアリング力とコミュニケーション力が求められる世界。確かに、知らない業界に対して知見を持つと、自分の可能性まで広がった気分になります。佐野さんはkmタクシーの差し出す手を掴むため走りました。コロナ禍を受けて、リーマンショックと同じ境遇にある人々に伝えるべき教訓は「敢えて知らない業界へ飛び込む」ことなのかもしれません。

「ありがとうございました」―お互い笑って別れた後、私はぐっと涙を堪えていました。今日の佐野さんの言葉を伝えていくことが今の私の使命なのだ、と強く思い今日もこうして筆を取っています。

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