
PROFILE
国際自動車 羽田営業所 タクシードライバー
2018年 キャリア(中途)入社 日野さん
日野さんは元力士という、非常に個性的で異色の経歴をお持ちと伺いました。そもそも、なぜタクシー業界へ転職されたのでしょうか?
きっかけは、本当に偶然でした。力士を引退した後、最初は付き人時代に培った「気遣い」を活かせる場所として、ハイヤードライバーを志望していたんです。ただ、面接の中で「あなたならきっと、ハイヤーよりタクシーの方が稼げますよ」とアドバイスをいただきました。父親や親戚もタクシー関係の仕事に就いていたので馴染みもありましたし、「これも運命かな」と感じてこの業界へ飛び込みました。

力士時代の経験が活きていると感じる場面はありますか?
「付き人」をしていた時の経験は大きいですね。特にお客さまが何を求めているか、車内の温度調整から会話のタイミングまで、力士時代に徹底的に磨いた「空気を読むスキル」が役立っています。常にアンテナを張ることも忘れず、YouTubeのニュースやネット記事で情報を仕入れています。お客さまからフランクに「最近どう?」と聞かれた際、政治や経済の話題でも柔軟に対応できるよう心掛けています。相手に不快感を与えず、自分の意見をしっかり伝える。この繊細なコミュニケーション能力は、間違いなく付き人時代の経験が原点ですね。
「タクシードライバーの仕事」と「相撲の世界」。通じる感覚があるのでしょうか?
タクシーの仕事は、いわば「二択の連続」です。「今はこっちの道に行くべきか」「この時間はあちらの方面か」。常に一歩先を捉えて戦略的に考えています。道路をフィールドに見立てて先を読み解く感覚は、ある意味ゲーム的で、私の「力士」としての本能をくすぐるんです。予想が当たった時の快感はアスリート特有の感覚に近いので、スポーツ業界からのセカンドキャリアとしても、おすすめできますね。

「察する力」や「状況を読み解く力」を持つ勝負師こそ、この業界で成功する資質があるんですね!
接客において、日野さんが大切にしている「流儀」を教えてください!
ホスピタリティとは反するような聞こえ方をするかもしれませんが、敢えてお話しします。「理不尽なことには引かない」ということです。これもまた、一つの流儀だと思っています。お客さまとの関係に不安を感じる方もいるかもしれませんが、今はドライブレコーダーもありますし、自分の意志を貫くべきところは、きちんと客観的な視点を保つよう心掛けています。ドライバーとお客さまも、最後は「人と人」です。お互いにリスペクトを持てる距離感を大切にすることが、心身ともに健康に働くためのコツだと思います。

お客さまとの絆を大切にするがゆえの、心構えのように感じます
以前、相撲の話で盛り上がったお客さまがいたんです。とても素敵な時間を過ごせたお礼に、後日、私のツテで手に入れた力士のサイン入りカレンダーをお送りしました。すると、ものすごく喜んでくださって!自分なりのポリシーを追求し、お客さまに「ファン」になってもらうこと。これは、この仕事の大きな醍醐味ですね。
ワークライフバランスや、私生活の変化についてはいかがですか?
何より自分の時間が作れることが嬉しいです。力士引退後は、しばらく飲食業界にいたのですが、当時は忙しすぎて、お世話になった相撲部屋の行事に顔を出すこともできませんでした。今は自分でスケジュールを組み、自由度の高いシフトで働けます。餅つきや新年会など、部屋のイベントで挨拶ができます。それでいて、収入は以前より高いんです!相撲部屋との繋がりは今も続いていて、親方も僕の表彰を喜んでくれています。それがまた、大きな励みになりますね。

自由な時間があるからこそ、メディア出演など新しい挑戦も広がっているようで…!
自由な時間が作れることで、NHKの番組への出演や映画作品への参加など、こんなに面白い体験ができるとは思ってもみませんでした。私にとってkmタクシーは、シンプルに「楽しい会社」です。かつていた業界での経験が、この仕事でさらに輝くんです。キャリアを積み上げたからこそ見える景色が、ここにはあります。
日野さんは昨年、路上で寝ている方(路上横臥者)を何度も保護され、表彰を受けられたと聞きました。
昨年だけで4回の保護に関わりました。一昨年の秋頃から意識して取り組み始めたのですが、不思議なもので一度スイッチが入ると、乗務中に路上寝こみ者の姿に自然と気付けるようになるんです。

具体的には、どのような状況で発見されることが多いのでしょうか?
路上寝こみ者を見つけることが一番多いのは、朝の4時頃。薄暗いけれど、やや明るさもある時間帯です。例えば恵比寿の線路沿いの一方通行の道で、道に人が転がっていたことがありました。クラクションにも反応がなかったので「これは寝ているな」と判断して警察の方を呼びました。また別の事例では、僕が警察に電話している間に通行人がその人を起こしてしまい、フラフラと交差点の真ん中まで出てしまったことがありました。本当に危なかったです。その時は慌てて駆け寄って、持ち上げました。この腕力ですので、軽々と安全な場所まで運べます(笑)。こうして「助ける」意識を持つことは、結果として「事故を防ぐ」ことに直結しているんです。
ドライバーとしての「責任」を、路上寝こみ者の保護という形で体現されているのですね
事故は意識の散漫や怠慢から起きるものです。救助すれば表彰されますが、見逃して事故が起これば人命も仕事も失ってしまう。そう考えると、私たちの責任は極めて重大ですよね。都内の死亡事故を減らす一助になれているなら、会社としても個人としても、これほど誇らしいことはありません!

本日は貴重なお話をありがとうございました!

